所得控除(2023年秋号)

みなさん、こんにちは。
秋が深まるこの時期、会社から年末調整の案内を受け取った方も、既に申請を済まされた方もおられるでしょうか。
今回は年末調整の所得控除についてお届けします。 

所得税は、給与収入から給与所得控除などの必要経費とそれぞれの家庭の事情を考慮したさまざまな控除、いわゆる「所得控除」を差し引きした課税所得の合計額に所得税の税率を乗じて計算されます。

年末調整とは、給与から引かれている所得税を再計算し、過不足があるかを確認するための精算手続きです。多く支払っている場合は還付され、不足している場合は追加徴収されることもあります。

年末調整で受けることのできる控除

年末調整では以下の控除が適用されます。
扶養控除
○障害者控除、勤労学生控除
○寡婦控除、ひとり親控除
○配偶者控除
○配偶者特別控除
○各種保険料控除
(社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除)
○基礎控除
○住宅借入金等特別控除(2年目以降)

贈与税について

贈与を行う場合に考慮すべきことの一つが贈与税です。
贈与可能な金額には上限がありませんので、1億円でも10億円でも贈与を行うことは可能ですが、その年に受け取った贈与の合計額が基礎控除の110万円を超えた場合には贈与税という税金がかかります。(ちなみに贈与税は「あげた人」ではなく「もらった人」が払う税金です。)

年末調整で受けることのできない控除

次の控除は年末調整では適用されません。所得控除を受けるには確定申告を行う必要があります。納め過ぎた所得税を取り戻すチャンスですので当てはまる方は確認しておきましょう。

○雑損控除
災害または盗難もしくは横領によって要件にあてはまる資産について損害を受けた場合等に一定の金額の所得控除を受けることができます。

○医療費控除
支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。同居のご家族の医療費も合計して申告できます。
医療費控除の特例としてドラッグストアなどで購入した市販薬のうちセルフメディケーション税制対象商品を使って健康の維持や病気の予防などをおこなうと一定額を所得から控除できます。医療費控除と併せて申請はできないので、どちらの控除を受けるのかを検討する必要があります。

○寄付金控除
納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。
ふるさと納税もこの寄附金控除のひとつです。
※ふるさと納税については、ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告不要ですが、5団体以上の寄附先がある場合は確定申告をして控除を受けることができます。

住宅ローンを利用して住宅を新築、購入、増改築をおこなった人は住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン減税)を受けることができ、初年度は確定申告を行う必要があります。(2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。)住宅借入金等特別控除は直接所得税から差し引くことができる税額控除ですので減税効果が大きいので申告はお忘れなく。

所得控除や税額控除を受けることで税金の負担が軽減されますので、それぞれの要件を正しく理解し、控除が適用される場合は、申告書に漏れなく記入しましょう。
確定申告の申告期限は来年2月15日から3月15日までです。

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