先進医療にかかるお金は、数百万円!?(2018年秋号)

「先進医療」とは、厚生労働大臣などが認めた最先端の医療技術のことです。
CMなどの影響で、先進医療という言葉を聞く機会は増えているものの、実際にはどのような治療法があるのかをご存知ですか?

がんの放射線治療は2種類が有名

厚生労働省のHPによると、平成30年3月1日現在で103種類 が先進医療に認められています。先進医療の場合、技術ごとに、治療を実施できる医療機関(病院やクリニックなど)が決められています。その中で名前が広く知られているのは、がんの放射線治療の一種である『陽子線治療』と『重粒子線治療』ではないでしょうか。 この2つの治療は肝がんや肺がん、前立腺がん、腎がんなどに効果が認められております。従来の放射線は、体表面に強く当たり、深いところでは弱くなってゆくのに対して、陽子線は深いところにエネルギーのピークを作ることができます。つまり、ピーク位置をがん病巣に一致させて照射することができ、正常細胞への損傷を低く抑えるので体への負担が少なくて済むのです。 また、重粒子線は陽子線よりも粒子が大きく、がんを殺傷する能力が強いですが、周りの正常細胞に当たった場合のダメージは大きくなります。

『陽子線治療』は260~280万円くらい、『重粒子線治療』は280~330万円くらいの治療費がかかると言われています。また、入院して治療を受けるのが一般的なので、先進医療にかかる費用のほかに、入院費用も加算されます。

実際に『陽子線治療』をおこなった方の支給例をご紹介

(例)43歳男性のAさん 『先進医療特約付きの医療保険』に加入中
  病名:肝細胞がん
  入院日数:2日間
  手術:血管塞栓術
  先進医療:陽子線治療

入院・手術の給付金にプラスして、先進医療給付金として、288万3,000円の治療費全額が給付されました。もし、Aさんが先進医療の保障を確保していなければ、約290万円もの先進医療にかかる費用を自己負担しなければならないところでした。『陽子線治療』は、早期の乳がんに対する臨床試験もスタートしており、今後、対象部位の拡大などが期待されています。さらに、現時点では広大なスペースが必要になっている粒子線装置の小型化も進められているため、今後は導入する医療機関が増えることや費用の低廉化が期待されています。

 実施件数では『白内障治療』の事例が多い!?

実は、先進医療の実施件数では、がんの治療ではなく、白内障治療のために行われる『多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術』が一番多くなっています。
一般的な白内障手術では、焦点を遠近どちらか一方に合わせることしかできないため、近くのものは老眼鏡などで生活することになります。
一方、『多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術』では、焦点を遠近どちらにも合わせることができるので、「遠くも見えて、近くも見える」状態に回復することができます。
こちらの技術料は全額自己負担のため治療費が50万円前後かかり、一般の治療に比べると10倍以上の金額がかかります。もし、"先進医療特約付き"の医療保険などに加入している場合には、『多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術』の先進医療を実施している医療機関でおこなうと保険の給付対象になりますので、治療費の負担がなくなるケースがあるのです。
気になる方は、先進医療の特約がついているか確認してみましょう。

もっといろいろ知りたい方は、FP個別相談に申し込んでみてはいかがでしょう。