確定拠出年金の3大メリット(2019年秋号)

最近、「確定拠出年金」という言葉をよく耳にしますね。たとえば、「専業主婦や公務員でも『iDeCo(イデコ)』が利用できる。」などよく報道されています。けれども、「よくわからないまま、ずっとほったらかし」という人が実は少なくありません。そこで今回は、確定拠出年金のメリットと、ドルコスト平均法の効果について改めてまとめてみました。

そもそも「確定拠出年金」って何?

一昔前は、会社からの年金と言えば、退職後の支給金額をあらかじめ定めた「確定給付型」ばかりでした。けれども、最近は、現役時代の拠出額(掛け金)のみを定める「確定拠出型」が主流です。昨今の運用難では将来の支給金額を確約することはとても難しいため、2001年10月からスタートしたのが「確定拠出型」の年金制度です。

「確定拠出年金」の3大メリット

確定拠出年金には様々なメリットがありますが、マネー面に関して言えば、税制優遇の手厚さについて、注目ポイントが3つあります。まず1点目は、運用益がまるまる非課税になることです。日本国内では、金融商品で運用すると、利益の約20%は税金として課税されてしまいます。たとえば、銀行預金に100万円を預け入れると、年利0.001%なら10円の利子が付く計算ですが、実際には2円分が課税されて、手元には8円しか振り込まれません。確定拠出年金なら利益について非課税になると聞いても、8円が10円になったところで大した魅力も感じないかもしれません。けれども、確定拠出年金の株式投資信託などでグンッと増えた場合はどうでしょうか。もしも、100万円が150万円に増えたとき、150万円をまるまる自分のものにできるか140万円に減るかは大問題ですね。本来なら課税されてしまう部分も合わせて再投資の原資に加わって、さらに雪だるま式に大きく増やせる効果も期待できます。

続いて2点目は、退職後の受け取り時に控除が受けられる点です。確定拠出年金では多くのところで、退職時に一括で受け取る「一時金」と、年金のように定期的に受け取る「年金」のプランを利用できますが、一時金で受け取る際には退職所得控除が、年金で受け取る際には公的年金等控除が使えるメリットがあります。
さて、3点目は、掛金の全額が所得控除の対象になることです。たとえば、所得税率20%の人が確定拠出年金の掛金として年間24万円払っていると、その分だけ所得税率を掛ける対象から外れるので、24万円×20%=4.8万円分の税金負担が減ります。確定拠出年金の掛金が全額所得控除になることの節税効果がいかにパワフルかわかりますね。まだ限度額を使いきっていない人はとても“もったいない”ので、前向きな検討がおすすめです。

 おさらい「ドルコスト平均法」 

税制優遇の大きさを考えると、運用益が大きくなる金融商品を少しは組み込んだ方が良さそうに思われますが、やはり心配なのは元本割れのリスクです。大きな運用益が欲しいとなると、やはり、値動きのあるものに投資するわけなので、高値づかみして損してしまうことも心配ですね。けれども、実は、確定拠出年金には、「ドルコスト平均法」という安全バーが自然に組み込まれていて、毎月一定金額ずつ運用することによって購入価格を平準化し、元本割れの可能性を低くする効果があります。

たとえば、1口あたりの価額が、(1)10,000円→ (2)6,000円→ (3)12,000円→ (4)5,000円→ (5)20,000円という値動きをしているものを1口ずつ購入すると、結局は、5口分を総額53,000円で購入したことに。「20,000円は割高だったなぁ」「5,000円の時にたくさん買っていればお得だったのに」など、後でモヤモヤする心理も働きます。
一方、確定拠出年金のように、毎月10,000円分の掛金で買える口数だけ手に入れるとすると、それぞれ、1口、1.7口、0.8口、2口、0.5口分なので、合計すると6口分に。総額50,000円で6口手に入れるのと、総額53,000円で5口分を手に入れるのとでは、どちらが有利かわかりますね。

このように、確定拠出年金には、投資信託など値動きがあるものを選んでもリスクを抑えながら割安に購入できるしかけが組み込まれていますので、運用の配分を変更する次の機会に留意してみてください。

確定拠出年金の活用などをもっと知りたい方は、FP個別相談に申し込んでみてはいかがでしょう。