医療の進歩と備え(2026年冬号)

未承認薬などをいちはやく使いたい。対象外になっているけれど治験を受けたい。
そんな患者さんたちの思いに応えるためにつくられた制度をご存じですか?

基礎医学の進歩

近年、基礎医学の進歩は目を見張るばかりです。がん治療における分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬など遺伝子レベルでの新薬や治療法が開発され、今まで治療が困難だった病気も数年先には治せると期待されています。それに応じて医療制度も変革をし、新たな制度も施行されてきています。 

パーキンソン病は脳内の「ドーパミン神経細胞」が減少することで、体が震えたりマヒしたり、大きな動きができないなどの症状があらわれる難病です。国内に29万人、世界では1,000万人以上の罹患者がいます。 

2018年から京都大学でiPS細胞(人工多様性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)を使ってドーパミン神経細胞を作製し、患者に移植して治療をする治験が開始され、2026年にパーキンソン病治療薬「アムシュプリ」が製品化されました。今後は健康保険適用を目指すことになるようです。 

保険外併用療養としての患者申出療養

パーキンソン病に悩む患者がこの治験に応募したものの対象外になってしまったが、同じ治療を受けることができないかと申し出た場合、今までは健康保険の適用のない自由診療を受けたとして、治療費の全額を自己負担することになっていました。 

これでは困難な病気と闘う患者の思いに応えることができません。先進的な医療を安全性と有効性を確認しつつ、患者の身近な医療機関でも迅速に受けられるようにするため、混合治療の例外として誕生した制度が患者申出療養です。 

患者が治療を選ぶ時代へ

患者申出療法は先進医療と似ているのですが、大きな違いは起点です。先進医療が大学や病院などの研究機関が起点になるのに対して、患者申出療養は患者の申出を起点とし、保険外併用療養として治療を受けられるようにする制度です。例えば、日本では行われていないが、海外では行われていて効果がある治療を受けたい」「試してみたい治療法があるが都会の病院でしか行われていない」「とても通えそうもないので近くの病院で受けることはできないかなどです。この制度は2016年に創設された比較的新しい制度ですが、とても画期的な施策だと思います。 

医療保険も進化

先ほどのパーキンソン病の治験を受けることが患者申出療養制度を使って出来たとします。施術としてはiPS細胞から作製した200個を超えるドーパミン神経前駆細胞を脳内に移植し、症状の改善を目指します。iPS細胞は本人の細胞から作製するオーダーメイドのため、作製には時間と費用がかかります。現在の医学では治療費に1,000万円を超える費用がかかります。これも自己負担になります。 

医療保険やがん保険の中には患者申出療養での自己負担治療費を保障する保険や特約があります。困難な病気と闘う患者の思いに応えるためには制度の整備とともに制度を支える保障の充実が必要です。 

今号は患者申出療養制度についてまとめました。健康保険が適用されない保険外療養(選定療養や先進医療など)は患者側の事前準備が必要になります。定期的な保険やライフプランの確認や見直しが重要です。 

ぜひこの機会にFP個別相談をご検討ください。